遺言書作成で気を付けるべき事、遺留分とは?計算方法など
遺言書は、自分の死後、家族や親しい方に対してどのようにしてほしいかを書き残すものです。
自分の意思を書き残すことで、その意思を自分の死後に託すことが出来ます。

というと、遺留分の関係があり、完全に遺言書の通りにできるとは限りません。
このページでは、遺留分とは何か?遺留分に配慮した遺言書の書き方などについてまとめました。
遺留分とは?
遺留分とは、一定の相続人が確保できる最低限の相続分をいいます。
一定の相続人とは、法定相続人のうち、兄弟姉妹以外の方。
つまり、配偶者、子、直系尊属(親)です。
遺留分を侵害する場合、遺留分を持つ相続人は、侵害する者に金銭の請求をすることが出来ます。
ですので、遺言書を作成する場合、遺留分を侵害しないように遺産の配分を決めることになります。
遺留分の計算方法
遺留分の計算を3STEPでまとめてみました。
【STEP1】
相続財産全体から計算!
親のみが相続人 | 全体の1/3 |
その他の場合 | 全体の1/2 |
【STEP2】
相続人が複数いた場合、STEP1で出た数字に法定相続分を掛ける!
法定相続分
配偶者&子 | 配偶者1/2、子1/2 |
配偶者&直系尊属 | 配偶者2/3、直系尊属1/3 |
配偶者&兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹4/1 |
【STEP3】
親が2人健在、子が数人いるなどの場合は、一人の遺留分はSTEP2で出た数字を頭数で割った数!
【具体例】
遺産1000万、相続人が配偶者と子2人の場合
STEP1:1000万×1/2=500万
STEP2:配偶者500万×1/2=250万、子500万×1/2=250万
STEP3:配偶者250万、子250万÷2=125万(つまり、一人125万)
生前に遺言者の財産の処分や債務があったとき
生前贈与や特別受益などがある場合、遺留分の計算に少し手を加えます。
【生前贈与があった場合】
- 相続開始前の1年間の贈与
- 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って行った贈与
以上の贈与があったとき、その贈与の額を相続財産に加算します。
【特別受益があった場合】
特別受益とは、相続人が遺言者から以下の行為によって受けた利益をいいます。
- 遺贈
- 婚姻・養子縁組のためもしくは生計の資本としての贈与
こちらも、特別受益分を相続財産に加算します。
【債務がある場合】
債務の全額を相続財産から引きます。
【具体例】
遺言者は生前、お世話になった友人に①100万円贈与した。
その7か月後に死亡し、相続が開始しました。
相続人である子Aは、会社を営んでいますが、経営悪化から遺言者である父から②100万臨時に受け取っていました。
相続財産の調査を進めていくと、銀行に③100万の借り入れが残っていたようです。
なお、遺産は1000万で、相続人は配偶者と子AB。
STEP0:1000万+①100万+②100万-③100万=1100万
STEP1:1100万×1/2=550万
STEP2:配偶者550万×1/2=275万、子550万×1/2=275万
STEP3:配偶者275万、子A275万÷2=137.5万、子B275万÷2=137.5万
遺留分侵害額の請求
遺留分があるとどうなるのか?
遺留分を持つ相続人は、遺留分を侵害している人に、侵害額を請求できます。
遺留分を侵害しているとは何か?
例えば、財産が1000万あり、相続人は配偶者と子だとします。
ですが、遺言書で全部愛人に遺贈するとします。
そして、遺言者が死亡し、相続が開始しました。
この場合、配偶者と子は全く相続できません。
しかし、遺留分制度により、最低限の相続分を確保できます。
つまり、その愛人に遺留分侵害額の請求をすることができます。
遺留分侵害額の請求順序
遺留分の侵害があったので、請求することにしました。
遺贈を受けた人と、生前贈与を受けた人、どちらもいた場合、どっちに請求すればいいのでしょうか?
組み合わせ別請求順序
【遺贈&贈与】
遺贈から遺留分侵害額を負担してもらいます。
【遺贈が複数】
価額の割合に応じて負担します。
【贈与が同時に複数】
価額の割合に応じて負担します。
【贈与がバラバラに複数】
相続開始時点に近い贈与から負担します。
【具体例】
遺言者は生前、お世話になった友人Aに①100万円贈与した。
さらにその後、愛人に②100万円贈与した。
その6か月後に死亡し、相続が開始しました。
遺言書には、別の友人Bに③100万円遺贈するとありました。
相続人である子Aは、会社を営んでいますが、経営悪化から遺言者である父から④200万臨時に受け取っていました。
相続財産の調査を進めていくと、銀行に⑤100万の借り入れが残っていたようです。
なお、遺産は1000万で、相続人は配偶者と子AB。
順序
③:贈与と遺贈があるとき、遺贈から負担する
↓
②:贈与が複数(同時でない)場合、相続開始時点に近い方から
↓
①
具体的な侵害額
遺留分の計算方法3STEPで、遺留分の基本の額を算定することができます。
この額から個別の理由によって差し引きされます。
個別の理由
- 特別受益
- 債務負担
- 相続
特別受益のある者は、遺留分から差し引きます。
相続によって債務を負担した者は、遺留分に加算します。
相続によって財産を得た者は、遺留分から差し引きます。
【具体例】
遺言者は生前、お世話になった友人Aに①200万円贈与した。
さらにその後、愛人に②200万円贈与した。
その6か月後に死亡し、相続が開始しました。
遺言書には、別の友人Bに③400万円遺贈するとありました。
相続人である子Aは、会社を営んでいますが、経営悪化から遺言者である父から④100万臨時に受け取っていました。
相続財産の調査を進めていくと、銀行に⑤60万の借り入れが残っていたようです。
債務は相続分に従って、負担することになりました。
なお、遺産は1000万で、相続人は配偶者と子AB。
STEP0:1000万+①200万+②200万+④100万-⑤60万=1440万
STEP1:1440万×1/2=720万
STEP2:配偶者720万×1/2=360万、子720万×1/2=360万
STEP3:配偶者360万、子360万÷2=180万
【STEP4】
特別受益者である子Aは、STEP3で出た数字から④100万の特別受益分を引く。
配偶者360万、子A80万、子B180万
【STEP5】
債務は相続分に従って負担することになったので、STEP4で出た数字に⑤60万を相続分で割った数を加算する。
配偶者390万、子A95万、子B195万
【STEP6】
相続で得た財産を、STEP5で出た数字から引く。
相続で得る財産は、遺贈を引いたものになります。
1000万-③400万=600万
配偶者600万×1/2=300万、子A600万×1/2×1/2=150万、子B600万×1/2×1/2=150万
遺留分侵害額
配偶者390万-300万=90万、子A95万-150万=-55万、子B195万-150万=45万
結果
遺留分侵害額の請求は、配偶者と子Bが行えることになります。
請求の順序で書いた通り、友人B③400万から払ってもらうことになります。
遺留分に配慮した遺言書の書き方
基本は遺留分の侵害が生じないように遺言書を作成します。
ですが、遺留分を侵害してでも遺言書に盛り込みたい事項もあるかと思います。
そのようなときは、どうしたらいいのでしょうか?
遺贈の順序や割合などの指定
すでに説明しましたが、遺留分侵害額を負担する順序は民法に規定されています。
ですが、遺言書によって、順序を指定することができます。
ただし、遺贈と贈与があった場合、遺贈を受けた者から負担することだけは、変えられませんが。
【遺贈の順序の指定】
ABに対する遺贈がある場合、Aに対する遺贈から遺留分侵害額の請求をするべきなどの条項を盛り込むことが出来ます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
遺言書を作成する場合、相続人の遺留分に配慮して作成することで、遺言内容の実現の度合いが変わってきます。
また、遺贈が複数あるような場合、遺留分侵害額請求の順序や割合を指定することによって、遺言内容の実現に繋げていきます。
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